2009年12月17日木曜日

障害者自立支援法の概要と問題

 平成18年4月1日、障害者自立支援法が制定され、10月1日から施行されます(一部はすでに施行されています)。「障害者の自立を支援する」法律―「バリアフリー」「ノーマライゼーション」という考え方は、障害者が健常者と同じように暮らせる社会を目指しているし、その究極の目的が「障害者の自立」であるのは、まちがいありません。それなのに、様々な場面で当事者である障害者やその家族から不安の声が上がっているのは、なぜなのでしょうか。
障害者自立支援法の柱は「応能負担から応益負担へ」「障害の種類別に法律があったのを、あらゆる障害について、この法律で対応する」「市区町村を事業の母体とする」そして「障害者も自立できる社会をめざす」の四つです。
特に、「当事者の収入ではなく、受けたサービスに応じ、支払い負担を一律1割にする」という応益負担の取り決めは、今までの福祉政策とはまったく異なった考え方です。非課税世帯への配慮はあるものの、国は厳しい財政難を受けて「これ以上公費負担を増やさない」ために、障害者も含め、「互いに負担し支えあう」ことを前提としたのです。
10月施行に先立ち、従来どおりのしくみのまま、「1割負担」だけは前倒しで始まっています。国が倒れては元も子もないので、多少の利用者負担増は仕方がありません。でも、「1割負担」で、利用者の生活は一変しました。もちろん急激な負担増を緩和するため、これまで福祉サービスを受けてきた人たちには、5年間の経過措置がありますが、それでも既に悲鳴があがっているのです。
この法律には、5年後、見直しをすることが明記されています。その間に、当事者の声を反映し、利用しやすくなればいいのですが、さらに負担が増すのではないか、受けられるサービスが制限されるのではないか、と、悲観的な意見が大半を占めています。やはり「財源」に不安があるのは明白だからでしょう。本格施行の10月を目前にしても、法律の全貌はまだ見えず、事業者も利用者も、政府ですら手探り状態、というのが現実ではないでしょうか。
「障害」というと、他人事のように思われる人も多いかもしれません。が、超高齢化社会に突入した日本では、何かしらの持病を持って老後生活を送る人が増えています。また、医療技術の発達により、「不治の病」「死に至る病」は激減した代わりに、闘病生活は長引く傾向にあります。病気を抱えながら、働く人も増えてきました。その人たちの日常を支えるのは、家族です。この法律は、すべての国民にとって関係があるのです。
誰もが真に自立し、社会の一員として安心して暮らすためには、経過措置の5年間で、この法律を大幅に見直す必要があります。「福祉はかわいそうな人にやってあげるもの」ではなく、「いつか自分や身近な人が、その立場になるかもしれない」という視点で福祉の現場を見守っていけば、よりよい改正につながるでしょう。
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