2011年1月3日月曜日

家の中 危ない? 高齢者の事故 死亡1万人超

家庭内での事故で亡くなる高齢者が増えている。転倒や浴槽での溺死などで亡くなる65歳以上は2009年度に全国で1万人を超えた。交通事故死の倍以上で、安全なはずの家の中が道路より危険な場所になっている。京都市内に多い古い町家は段差も多く、専門家は「改修補助の拡充が必要」と指摘する。

■交通事故死者の2倍 転倒・転落や浴槽溺死…

 「気付かなければどうなっていたか」。京都市伏見区の木全義雄さん(76)は、深夜に慌てた経験を振り返る。自宅で介護する妻(75)が寝返りしたとき、左手首が介護ベッド脇の柵の隙間に挟まり抜けなくなった。

 脳内出血の後遺症で体にまひが残る妻は、一人では外せない。「体を休めるはずのベッドに、まさか危険が潜んでいるなんて」

 介護ベッドの手すりや転落防止柵の隙間に首が挟まる事故だけでなく、転倒・転落や浴槽での溺死などの事故死が、高齢化の進展で増えている。

 厚生労働省の人口動態統計によると、家庭内での不慮の事故で亡くなった65歳以上の高齢者は08年度に1万人を超えた。10年間で約3割増。

 一方、交通事故死は減少傾向で、09年は57年ぶりに5千人を切る4914人。両者の数は02年に逆転、差が広がっている。

 京都市は、住宅の段差解消や手すり設置の工事に上限300万円を低利で融資する制度を設けているが、10~20年で返済が必要で、利用は年に数件にとどまっている。

■環境改善求める声も

 高齢者や身体障害者の住宅改修相談事業に取り組む「市身体障害者団体連合会」住環境改善相談員会運営委員長で1級建築士の蔵田力さん(62)=北区=は「スウェーデンやデンマークは行政職員が定期的に家庭を訪問し、こまめに居住環境を改善指導している。改修費は行政の全額保証が原則だが、予防的対処でコストも抑えられる。日本も見習うべきだ」と指摘する。

2010年12月31日付(京都新聞)

続きは・・・http://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20101231000019

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