2011年1月8日土曜日

脳波で介助ロボットを操作 重度患者で臨床研究へ…阪大など


 手足がマヒして動かず、意思の伝達が難しい重度の身体障害を抱える患者の頭蓋内から、直接脳波を計測して意思を読み取り、文字をパソコンに表示したり、ロボットを動かしたりする臨床研究を、大阪大病院脳神経外科と東京大などのグループが来年度からスタートさせる。脳と機械を結ぶBMI(ブレーン・マシン・インターフェース)技術を応用する。全身の筋肉が衰える進行性の神経難病「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」の患者について今春、同病院の倫理委員会へ研究を申請。その後は、脳卒中などで重度の障害が残った患者にも広げていく考えだ。

 同病院の吉峰俊樹教授、平田雅之特任准教授らが取り組む。BMIによる重度身体障害者に対する治療は国内初となる。

 ALS患者の意思伝達は現在、眼球の動きで文字盤の文字に視線を合わせ、介護者が読み取る方法や頭皮上から脳血流の変化を計測し、「はい」「いいえ」を判別する方法がある。

 計画では、重度のALS患者の頭頂部付近の大脳表面で、色々な手指の動きを指令する「運動野」と呼ばれる部位に直径1ミリの電極を数ミリ間隔で約100個配したシートを貼り付ける。指令にあたる脳波をそれぞれ電極で計測。分析装置を通して微妙な脳波の違いで上下左右の動きを判別する。

 例えば、画面上に文字盤のあるパソコンを使って自らの意思を伝える場合、脳内でカーソルの動きをイメージすれば、文章を素早く作ることができるようになるという。体の位置をかえるなど、ロボットとつないで自分の望む行動を実行してもらう試みも行う予定。

 既に、比較的症状の軽い脳卒中患者約10人に対する初期研究を実施。脳内でジャンケンをイメージしてもらい、その時の脳波を数個の電極で読み取り、ロボットアームで瞬時に動きを再現する技術を確立している。

 将来的には、脳卒中後のリハビリでも運動機能の回復が難しい患者にロボットスーツを着用してもらい、自由に動けるようにする。意識は鮮明だが、脳梗塞が原因で体は全く動かない「閉じこめ症候群」の患者にも対象を広げるなど、重症疾患患者への幅広い応用も視野に入れている。吉峰教授は「基礎的な段階は完成している。脳に直接、電極を置くことで非常に正確な情報が得られ、ロボットなどを通じて、複雑な動きも再現できるようにしたい」と話している。

2011年1月7日付(読売新聞)

続きは・・・http://osaka.yomiuri.co.jp/e-news/20110107-OYO1T00140.htm?from=newslist

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