2009年4月1日水曜日

介護保険、4月からこうなる サービス向上でも負担増

■自治体で違う保険料/認定基準も変更
 4月に制度開始から10年目を迎える介護保険制度。介護報酬(サービス単価)が初の引き上げとなるなど制度見直しも進んでいる。4月からの新制度についてQ&A形式でまとめた。
 Q なぜ介護報酬が引き上げられるの?
 A 介護の現場ではきつい仕事のわりに賃金が低く抑えられており、資格を持ちながら離職する人が後を絶たない。介護報酬を3%引き上げることで、介護職員の月収の平均2万円アップを目指している。ただ、介護報酬が増えるのは一定条件を満たした事業所のみで、職員全員の賃金が一律に上がるわけではない。
 Q 職員の待遇が改善される事業所は?
 A 夜勤など負担の大きい業務に対し必要な職員数を確保したり、専門職員を多数雇用するといった条件を満たすと事業所へ支払われる介護報酬が増える。だが「中小事業所は報酬アップ分を運転資金に充て、職員の賃金増には振り向けない」との指摘も出ている。
 Q 利用者にはどんな影響があるの?
 A 人手のかかった質の高いサービスが受けられる半面、サービス単価が上がるので自己負担も増える。利用額が要介護度ごとの限度額内ならば1割負担で済むが、限度額を超えると全額自己負担になる。
 Q 介護報酬の引き上げで保険料額は変わるの?
 A 介護報酬を3%上げると、その財源である保険料も原則アップすることになる。3年ごとに改定される65歳以上の保険料(1号保険料)は現行月4090円(全国平均)だが、厚生労働省は4月以降、180円増の月4270円になると推計している。ただ、急激な保険料上昇を抑えるため、平成21年度はプラス改定に伴う値上げ分の全額、22年度は半額をそれぞれ国庫負担する。実際の保険料額は市区町村ごとに決められるので確認が必要だ。
 Q 40~64歳の保険料(2号保険料)は?
 A 厚労省の推計では、4月から年平均5万264円となり、現行より613円の値上げとなる。2号保険料は毎年改定され、実際の保険料は個人の所得水準で異なる。サラリーマンは労使折半となるため、月平均の保険料額は25円増の2993円となる見通しだ。
 Q 介護サービスを受ける前提となる要介護度の認定基準も変わるの?
 A 調査員による評価のばらつきを抑えたり、事務負担の軽減を図るため認定基準が変わる。例えば、調査員の調査項目(現行82項目)は、主治医の意見書で代替できる「皮膚疾患」など14項目が削られ、新たに「簡単な調理」など6項目が加わり74項目になる。
 Q 「現在より軽く判定される」と批判が出ている
 A 調査員が利用者の心身状態を調査票に記入する際の判断基準も変わることが原因だ。例えば、寝たきりの人の移動について「そもそも介護をする機会がない」として、調査員は調査票の「自立(介助なし)」欄をチェックする。ただ、同時に本人の状態を「特記事項」で詳しく書くことになっており、厚労省は「コンピューター判定で軽く認定されても、特記事項をもとに認定調査会が修正する」と説明している。
 Q 寝たきりの人を「自立」とするのはどうか
 A 厚労省は、専門家らの指摘を受け、調査員の判断マニュアルを修正することにした。調査票の「自立(介助なし)」のチェック欄を「介護されていない」に表現を変えるほか、認知症の人が間違った買い物をする場合は「自立」から「一部介助」に変更する。

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