2008年8月23日土曜日

「二本指のピアニスト」大津公演 韓国のイ・ヒアさん

半生に感動 主婦が奔走 来月びわ湖ホール
 生まれつき両手の指が2本ずつしかない韓国人ピアニスト、イ・ヒアさん【クリップ】(22)のコンサートを、大津市の主婦速水啓子さん(53)らが企画、9月に同市で開かれる。母親と二人三脚で過酷な練習を積み、国際的に活躍するようになった半生に感動し、実現に向けて奔走した。自身も3人の子どもを持つ速水さんは「厳しい愛情を注ぐイさんの母親は私の理想像。この親子の姿を、コンサートを通じて知ってもらえれば」と期待している。
 「二本指のピアニスト」。速水さんは今年3月、買い物帰りに立ち寄った書店で偶然、1冊の本を手に取った。両手の指が2本ずつしかない少女が、国際的に活躍するピアニストになるまでが記されていた。
 イさんの生の演奏が聴きたいと、速水さんは、日本担当のマネジャーに連絡をとった。「千葉や名古屋で公演がある」と告げられ、速水さんが「都合がつかない」と残念がると、電話口から思いがけない返事が。「そちらに行きましょうか」。受け皿さえあれば、大津市でも演奏するという。
 速水さんは、さっそく行動に移った。同じマンションに住む友人ら4人で「イ・ヒア ソフィアプラン実行委員会」を結成。琵琶湖に臨み、国内でも定評のあるびわ湖ホール(大津市)こそ会場にふさわしいと、演奏会の開催と後援を打診したところ、イさんのCDを聞いて了承した。
 さらに速水さんらは、コンサートを地域で盛り上げようと、働きかけた。県立膳所高書道班は、イさんが母にあてた手紙の抜粋文を縦横約4メートルの紙に書き、公演当日はホールに飾る。滋賀医科大学のアカペラサークルは、コンサートの最後にイさんや聴衆とともに日本の民謡を合唱する予定だ。
 速水さんは「イさんのお母さんは、どんなことがあっても子どもと一緒に前向きに生きている。一歩でも近づきたい目標」と話す。イさんのマネジャーは「親子関係が希薄な日本の親子にも、障害を乗り越えて頑張るイ・ヒアと、その母の子育てを知ってほしいと活動してきた。その思いに共感してくれた速水さんの熱意に心を打たれた」という。
 コンサートはびわ湖ホールで9月23日午後2時から。一般3500円、高校生以下と車いす席は2500円。問い合わせは実行委(090・4498・8922)。
 【クリップ】イ・ヒア(李喜芽)さん 韓国・ソウル出身。先天性の障害で両手に指が2本ずつしかなく、両ひざ下も切断。それでも、指を鍛えようと5歳からピアノを始めた。最初は音を出すことすら難しかったが、1日10時間の練習を重ね、7歳で学生音楽コンクールの最優秀賞を受賞。2000年シドニーパラリンピックで祝賀演奏をするなど活躍し、「奇跡のピアニスト」と呼ばれる。
続きは・・・http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/shiga/news/20080821-OYT8T00852.htm
2008年8月22日付(読売新聞)

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