2008年6月20日金曜日

【正論】精神科医・国際医療福祉大学教授 和田秀樹

 ■精神鑑定の「基準」づくりを急げ
 ≪ともに、「責任能力なし」≫
 東京・渋谷のセレブ妻による夫のバラバラ殺人事件は、弁護側だけでなく、検察側の精神鑑定医までが、「(被告に)責任能力なし」の鑑定を下す異例のケースだった。東京地裁の判決は、被告に完全な責任能力を認め、懲役15年の判決を言い渡した。この判決について、司法と医学が異なる判断をしたと論じた新聞もあったが、私は医学の側にきちんとしたスタンダードやコンセンサスがないために、司法が、その判断を採用しなかったと考える。
 実際には、判決文でも、被告が短期の精神病性障害にあったことも、幻聴や幻視があり、相当強い情動もあったことも認めており、「鑑定結果の信用性に疑いを差し挟む事情はない」と断じている。要するに、精神鑑定医の症状の診断結果は妥当なものであるが、責任能力なしという判断を採用することはできないということである。私は裁判官のこの考え方を支持する。
続きは・・・http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080620/crm0806200328004-n1.htm
2008年6月20日付(日経新聞)

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