2010年7月10日土曜日

与党、過半数割れなら…首相責任論に「予防線」

 民主、自民両党の執行部が、参院選で議席が伸び悩んだ場合の責任問題について神経をとがらせている。
 どちらの党も参院選後に党内が混乱する可能性がある。
 民主党の枝野幹事長は9日、高知市内で記者団に、与党が過半数割れした場合の菅首相の責任について、「日本の憲法では、首相を選ぶのは衆院ということになっている。(首相は)衆院で300を超える方に指名をいただいている。その基本は全く変わらない」と述べ、参院選の結果に関係なく、首相は続投すべきだとの考えを示した。
 枝野氏ら執行部には「就任わずか1か月の首相が辞める必要はない」との思いが強い。支持率が低迷した鳩山前政権時代には、参院選の議席は「30台」とも予想されていたため、「40台後半がとれたら御の字」(党幹部)というわけだ。
 首相も周辺に、消費税率引き上げ実現を念頭に「歴史に恥じない総理になりたい」と語るなど、続投への意欲をみなぎらせている。
 ただ、続投へのハードルは低くない。首相は参院選の勝敗ラインを「(改選の)54議席プラスアルファ」とした。仙谷官房長官は9日の記者会見で、「私も変わっていない」と述べ、改めて「54」が勝敗の分かれ目だと強調した。しかし、読売新聞社の終盤情勢調査では、民主党はそれを下回る可能性が高まっている。
 党内では「消費税問題がわが党の候補者にボディーブローのように効いてきている」(高嶋良充参院幹事長)と、首相への不満が強まっている。
 9月の党代表選で首相に対抗する方針の小沢一郎前幹事長のグループでも「与党で過半数を維持できなかったら、当然、代表選で首相を引きずり下ろすことになる」(小沢氏周辺)との声が出ている。
 枝野氏に対しても、「選挙で敗れたら、幹事長が引責辞任するのが常道だ」との指摘が出ており、執行部と党内の「不満分子」との駆け引きが激化しそうだ。
 ◆自民、刷新望む声再燃も◆
 過去の参院選で、党首や党幹部の引責辞任はつきものだった。2004年は、自民党の安倍晋三幹事長(当時)が改選議席割れの責任を取って辞任。同党が惨敗した07年には、中川秀直幹事長(同)が引責辞任し、続投を表明した安倍首相(同)も党内の批判を受け、最終的に辞任に至った。
 その自民党は、谷垣総裁が「与党を過半数割れに追い込めなければ辞任する」との考えを明言しており、参院選で与党が過半数を確保すれば、ただちに総裁辞任を表明する見通しだ。その後、5年連続となる総裁選を早期に実施して後継総裁を選び、幹事長以下の執行部も一新されそうだ。
 一方、与党を過半数割れに追い込んだ場合、谷垣氏は続投する意向だ。総裁任期は12年9月まで2年余を残すため、続投への異論は広がらないとの見方が多い。
 ただ、党内の中堅・若手議員の間には、「谷垣総裁―大島幹事長では、新しい自民党として来年の統一地方選に勝つ戦略は描きにくい」(平井卓也衆院議員)などと、執行部への批判がくすぶる。大島氏や川崎二郎国会対策委員長らの党運営、国会運営への不満は根強く、次期衆院選に向けた世代交代を図るよう、執行部刷新を求める声が再燃する可能性があり、谷垣氏の対応が焦点となりそうだ。
2010年7月10日付(読売新聞)
続きは・・・http://www.yomiuri.co.jp/election/sangiin/2010/news2/20100710-OYT1T00265.htm?from=main1

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