2009年3月17日火曜日

不況 障害者の生活直撃

作業所への発注激減
 世界的な不況が、自立を目指して福祉作業所などで働く障害者の暮らしを脅かしている。製造業の盛んな県内では、企業が下請けに出していた単純作業が、作業所の支えともなっていたが、昨年来の景気後退で発注が激減。障害者らの家計にも深刻な影響を及ぼしている。立場の弱い、生産現場の末端で働く者が、〈不況の大波〉にのみこまれたかたちで、作業所側は「このままではやっていけない」と窮状を訴えている。
 東近江市の「八身(はっしん)福祉会」は、身体、精神、知的の各障害を抱える約90人が通っている。うち約40人は、県内の自動車部品工場からシートベルト部品の製造を請け負い、多いときは1日3万組を生産し、月額工賃は最大5万円にもなっていた。
 しかし、昨年末から受注が減り、1月の仕事量は昨夏の4割。自動車メーカーの生産縮小で、部品工場自体が、操業を停止する日もあり、毎日の製品出荷後の残業はなくなった。
 3年半前脳梗塞(こうそく)で左半身不随となり、勤務先の会社を辞めた同市内の男性(55)は、1年前から同福祉会で働く。工賃5万円と障害年金約8万円の収入で、県外に住む大学生の長男を含め家族4人の生活費をまかなうが、「先の見えない不況で、将来と自分の健康が不安」と漏らす。
 宮下律夫事務長(43)は「経営も厳しいが、福祉施設での仕事は、障害者にとって社会とつながっている場でもあり、なんとか仕事の機会だけは死守したい」と顔を曇らせる。
 エアコン部品の袋詰め作業などを請け負う、守山市の「白蓮(びゃくれん)もりやま作業所」でも、今年に入り、月の売り上げが従来の3分の1、約2万5000円に減った。平日でも仕事のない日があり、川崎真男施設長(57)は「なんとかこれまでの工賃を支給しているが、いつまでもつか……」と苦しげだ。
 県障害者自立支援課によると、現在、県内137の作業所の半数以上が地元企業や工場から下請けしている。2006年度の平均月額工賃は約1万5500円で全国2番目に高かったが、07年度は約1万3800円に下がったという。
 障害者問題に詳しい東洋大ライフデザイン学部・北野誠一教授は「企業にとって、作業所への下請けは真っ先に切りつめる対象で、今後はさらに厳しくなる」と話している。
2009年3月16日付(読売新聞)
続きは・・・http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/shiga/news/20090316-OYT8T00337.htm

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