2009年9月1日火曜日

連立協議へ 数におごることなく

 衆院選に大勝した民主党が、鳩山政権の樹立へと動きだした。
 政権移行に向けて、まず課題になるのは、社民党、国民新党とともに政権の枠組みをつくる「連立合意」である。岡田克也幹事長が交渉の窓口役となり、両党に対して協議に入るよう申し入れている。
 スムーズな船出には、政権基盤の安定が欠かせない。3党がどこまで合意内容を詰められるかが鍵の一つになる。
 「最終的な結論をできるだけ早くつくり上げたい。心配はしていない」。鳩山由紀夫代表は、きのうのインタビューで述べている。肝心なのは、民主党が数におごることなく、他党の意見を誠実にくみ取ろうと努力する姿勢だろう。
 3党は公示前、連立を前提とした共通公約を発表している。
 子ども手当の創設や高校教育の実質無償化、郵政事業の抜本的見直しなど、今度の選挙の目玉となった具体策を列挙している。
 連立協議は、これを基に進められるが、隔たりが大きい安全保障政策は盛り込まれていない。憲法の平和主義、国民主権、基本的人権の尊重の3原則を守る-と確認しただけだ。
 民主党の圧勝で、社民、国民新両党には、主導権を奪われて埋没することへの警戒感が強まっている。特に、社民は非核三原則をはじめとする安全保障政策では安易な妥協を避けたい意向だ。
 調整が手間取ることになれば、国民生活への影響が心配になる。
 民主党は参院で単独過半数を確保できていない以上、しっかりと議論を重ねて、ハードルを乗り越えていくしかない。一連の協議は、国民にオープンにして進めることも重要だ。
 連立協議には新党日本、新党大地も参加する意向でいる。
 衆院選で民主党が得た議席は308。これに協力関係にある4党を合わせると、ちょうど3分の2にあたる320。参院で否決された法案の再可決が可能になる。
 しかも、衆参のねじれも解消できている。民主党中心の政権は、自公を上回る強い力を手にすることになる。
 「数のおごりを捨て去らなければならない」。鳩山代表は、数に頼る国会運営を避ける考えを表明している。
 当然である。強く批判してきた自公政権のやり方を踏襲すれば、国民の失望を招くだけだ。
 論議を尽くし、合意点を見いだす姿勢を貫いてほしい。建設的な国会の論戦が聴きたい。
2009年9月1日付(信濃毎日新聞)
続きは・・・ http://www.shinmai.co.jp/news/20090901/KT090831ETI090005000022.htm

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