2009年9月13日日曜日

連立政権合意の全文

民主、社民、国民新3党による連立政権の合意全文は次の通り。
 【連立政権合意書】
 民主党、社会民主党、国民新党の3党は、第45回衆議院総選挙で国民が示した政権交代の審判を受け、新しい連立政権を樹立することとし、その発足に当たり、次の通り合意した。
 1 3党連立政権は、政権交代という民意に従い、国民の負託に応えることを確認する。
 2 3党は、連立政権樹立に当たり、別紙の政策合意に至ったことを確認する。
 3 調整が必要な政策は、3党党首クラスによる基本政策閣僚委員会において議論し、その結果を閣議に諮り、決していくことを確認する。
 【政策合意】
 国民は今回の総選挙で、新しい政権を求める歴史的審判を下した。
 その選択は、長きにわたり既得権益構造の上に座り、官僚支配を許してきた自民党政治を根底から転換し、政策を根本から改めることを求めるものである。
 民主党、社会民主党、国民新党は連立政権樹立に当たって、2009年8月14日の「衆議院選挙にあたっての共通政策」を踏まえ、以下の実施に全力を傾注していくことを確認する。
 小泉内閣が主導した競争至上主義の経済政策をはじめとした相次ぐ自公政権の失政によって、国民生活、地域経済は疲弊し、雇用不安が増大し、社会保障・教育のセーフティーネットはほころびを露呈している。
 国民からの負託は、税金の無駄遣いを一掃し、国民生活を支援することを通じ、わが国の経済社会の安定と成長を促す政策の実施にある。
 連立政権は、家計に対する支援を最重点と位置づけ、国民の可処分所得を増やし、消費の拡大につなげる。また中小企業、農業など地域を支える経済基盤を強化し、年金・医療・介護など社会保障制度や雇用制度を信頼できる、持続可能な制度へと組み替えていく。さらに地球温暖化対策として、低炭素社会構築のための社会制度の改革、新産業の育成等を進め、雇用の確保を図る。こうした施策を展開することによって、日本経済を内需主導の経済へと転換を図り、安定した経済成長を実現し、国民生活の立て直しを図っていく。

 1 速やかなインフルエンザ対策、災害対策、緊急雇用対策
 当面する懸案事項であるインフルエンザ対策について、予防、感染拡大防止、治療について、国民に情報を開示しつつ、強力に推し進める。
 各地の豪雨被害、地震被害、また天候不順による被害に対し速やかに対応する。
 深刻化する雇用情勢を踏まえ、速やかに緊急雇用対策を検討する。

 2 消費税率の据え置き
 現行の消費税5%は据え置くこととし、今回の選挙において負託された政権担当期間中において、歳出の見直し等の努力を最大限行い、税率引き上げは行わない。

 3 郵政事業の抜本的見直し
 国民生活を確保し、地域社会を活性化すること等を目的に、郵政事業の抜本的な見直しに取り組む。
 「日本郵政」「ゆうちょ銀行」「かんぽ生命」の株式売却を凍結する法律を速やかに成立させる。日本郵政グループ各社のサービスと経営の実態を精査し、「郵政事業の4分社化」を見直し、郵便局のサービスを全国あまねく公平にかつ利用者本位の簡便な方法で利用できる仕組みを再構築する。
 郵便局で郵便、貯金、保険の一体的なサービスが受けられるようにする。
 株式保有を含む日本郵政グループ各社のあり方を検討し、国民の利便性を高める。
 上記を踏まえ、郵政事業の抜本見直しの具体策を協議し、郵政改革基本法案を速やかに作成し、その成立を図る。
 4 子育て、仕事と家庭の両立への支援
 安心して子どもを産み、育て、さらに仕事と家庭を両立させることができる環境を整備する。
 出産の経済的負担を軽減し、「子ども手当(仮称)」を創設する。保育所の増設を図り、質の高い保育の確保、待機児童の解消に努める。学童保育についても拡充を図る。
 「子どもの貧困」解消を図り、2009年度に廃止された生活保護の母子加算を復活する。母子家庭と同様に、父子家庭にも児童扶養手当を支給する。
 高校教育を実質無償化する。

 5 年金・医療・介護など社会保障制度の充実
 「社会保障費の自然増を年2200億円抑制する」との「経済財政運営の基本方針」(骨太方針)は廃止する。
 「消えた年金」「消された年金」問題の解決に集中的に取り組みつつ、国民が信頼できる、一元的で公平な年金制度を確立する。「所得比例年金」「最低保障年金」を組み合わせることで、低年金、無年金問題を解決し、転職にも対応できる制度とする。
 後期高齢者医療制度は廃止し、医療制度に対する国民の信頼を高め、国民皆保険を守る。廃止に伴う国民健康保険の負担増は国が支援する。
 医療費(GDP比)の先進国(OECD)並みの確保を目指す。
 介護労働者の待遇改善で人材を確保し、安心できる介護制度を確立する。
 「障害者自立支援法」は廃止し、「制度の谷間」がなく、利用者の応能負担を基本とする総合的な制度をつくる。

 6 雇用対策の強化―労働者派遣法の抜本改正―
 「日雇い派遣」「スポット派遣」の禁止のみならず、「登録型派遣」は原則禁止して安定した雇用とする。製造業派遣も原則的に禁止する。違法派遣の場合の「直接雇用みなし制度」の創設、マージン率の情報公開など、「派遣業法」から「派遣労働者保護法」に改める。
 職業訓練期間中に手当を支給する「求職者支援制度」を創設する。
 雇用保険のすべての労働者への適用、最低賃金の引き上げを進める。
 男・女、正規・非正規間の均等待遇の実現を図る。

 7 地域の活性化
 国と地方の協議を法制化し、地方の声、現場の声を聞きながら、国と地方の役割を見直し、地方に権限を大幅に移譲する。
 地方が自由に使えるお金を増やし、自治体が地域のニーズに適切に応えられるようにする。
 生産に要する費用と販売価格との差額を基本とする戸別所得補償制度を販売農業者に対して実施し、農業を再生させる。
 中小企業に対する支援を強化し、大企業による下請けいじめなど不公正な取引を禁止するための法整備、政府系金融機関による貸付制度や信用保証制度の拡充を図る。
 中小企業に対する「貸し渋り・貸しはがし防止法(仮称)」を成立させ、貸し付け債務の返済期限の延長、貸し付けの条件の変更を可能とする。個人の住宅ローンに関しても、返済期限の延長、貸し付け条件の変更を可能とする。

 8 地球温暖化対策の推進
 温暖化ガス抑制の国際的枠組みに主要排出国の参加を求め、政府の中期目標を見直し、国際社会で日本の役割を果たす。
 低炭素社会構築を国家戦略に組み込み、地球温暖化対策の基本法の速やかな制定を図る。
 国内の地球温暖化対策を推進し、環境技術の研究開発・実用化を進め、既存技術を含めてその技術の普及を図るための仕組みを創設し、雇用を創出する新産業として育成を図る。
 新エネルギーの開発・普及、省エネルギー推進等に、幅広い国民参加の下で積極的に取り組む。
 9 自立した外交で、世界に貢献
 国際社会におけるわが国の役割をあらためて認識し、主体的な国際貢献策を明らかにしつつ、世界の国々と協調しながら国際貢献を進めていく。個別的には、国連平和維持活動、災害時における国際協力活動、地球温暖化・生物多様性などの環境外交、貿易投資の自由化、感染症対策などで主体的役割を果たす。
 主体的な外交戦略を構築し、緊密で対等な日米同盟関係をつくる。日米協力の推進によって未来志向の関係を築くことで、より強固な相互の信頼を醸成しつつ、沖縄県民の負担軽減の観点から、日米地位協定の改定を提起し、米軍再編や在日米軍基地のあり方についても見直しの方向で臨む。
 中国、韓国をはじめ、アジア・太平洋地域の信頼関係と協力体制を確立し、東アジア共同体(仮称)の構築を目指す。
 国際的な協調体制の下、北朝鮮による核兵器やミサイルの開発をやめさせ、拉致問題の解決に全力を挙げる。
 包括的核実験禁止条約の早期発効、兵器用核分裂性物質生産禁止条約の早期実現に取り組み、核拡散防止条約再検討会議において主導的な役割を果たすなど、核軍縮・核兵器廃絶の先頭に立つ。
 テロの温床を除去するために、アフガニスタンの実態を踏まえた支援策を検討し、「貧困の根絶」と「国家の再建」に主体的役割を果たす。
 10 憲法
 唯一の被爆国として、日本国憲法の「平和主義」をはじめ「国民主権」「基本的人権の尊重」の三原則の順守を確認するとともに、憲法の保障する諸権利の実現を第一とし、国民の生活再建に全力を挙げる。
2009年9月9日付(共同通信)
続きは・・・http://www.47news.jp/CN/200909/CN2009090901000855.html

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