2007年12月21日金曜日

薬害肝炎訴訟 和解の展望見えず

与党からも手法に批判
 薬害C型肝炎訴訟の和解協議は20日、政府の修正案の受け入れを原告団が拒否し、物別れの方向となった。

 政府は譲歩して修正案をまとめたものの、原告団は一歩も引かなかった。政府・与党内には、調整役としての舛添厚生労働相を批判する声も出ている。

 舛添氏は20日夕、政府の修正案について、記者団に「これが政治決断の案だ。ベストを尽くした」と強調した。この修正案は、舛添氏が19日夕、福田首相との直談判でほぼ固まっていた。

 「閣僚の職を賭(と)す覚悟で調整をやってきた。修正案を了承してほしい」

 首相官邸で舛添氏は首相にこう迫り、修正案の取りまとめの了承を取り付けた。

 周辺によると、首相側は、舛添氏に対し、「官邸の裏口から出入りしてほしい」と求めた。舛添氏が報道陣に「職を賭す」と明言すれば、辞任論が独り歩きしかねないと警戒していたとみられる。今回の修正案のポイントは〈1〉原告側が求めていた約150億円の和解金総額を上回る約170億円を提示〈2〉全員に和解金が支払われる事実上の全員救済――だ。

 原告団が主張する一律救済については、厚労省の事務方や法務省などが「大阪高裁の和解骨子案を超えている」と主張し、舛添氏も断念せざるをえなかった。ただ、和解金の大幅な積み増しについては、舛添氏が省庁の抵抗を押し切った。

 舛添氏は翌20日午前、修正案を発表した。だが、わずか数分後、原告団が記者会見で受け入れ拒否を表明した。受け入れに自信を見せていた舛添氏は周辺に「(原告団は)私がまとめた案を理解していないのではないか。裁判で勝ってもこれほどの内容にはならない」と不満を漏らした。

 政府・与党内では、今回まとまらなかった理由として、原告団の姿勢に加え、舛添氏の調整手腕を指摘する声がある。

 舛添氏は早い段階から「(原告団の)みんなを救う」と明言し、原告団内に「政府は譲歩する」との期待感を持たせたとみられる。さらに、与党にも「肝炎問題は私に任せてほしい」と伝えるなど、「スタンドプレーを選んだ」(自民党議員)と受け止められている。舛添氏は20日、「もっと努力を続けて、問題解決に全力を尽くしたい」と語ったが、展望は見えていない。

首相「心からおわび」
 福田首相は20日夜、薬害C型肝炎集団訴訟に関し、「薬害が発生してしまったことについて、被害者の方々に本当に申し訳ないと思っている。心からおわびしたい。長い間、大変ご苦労された方々に対し、本当におわびの言葉もない思いだ」と述べ、謝罪した。原告側による国の修正案拒否については「大阪高裁でどう受け止め、原告の方々と話し合いをしてくれるかだ」と語った。高裁の判断次第で、国としても一層の譲歩を行うことを示唆したものだ。

2007年12月21日 (読売新聞)

続きは・・・http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20071221-OYT8T00177.htm

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