2007年12月19日水曜日

医療ルネサンス

通院での抗がん剤

携帯ポンプ 自宅で点滴

抗がん剤がゆっくりと注入される携帯型ポンプを用いて、自宅で点滴を続ける治療も普及してきた。

 千葉市の運転手岡本隆行さん(55)は、今年1月に大腸がんが見つかり、手術を受けた。がんは肺や肝臓などへも広がっており、同市の千葉県がんセンターで抗がん剤治療を始めた。

 岡本さんが受けているのは、がんに栄養を届きにくくする新しいタイプの抗がん剤など4種類の薬剤を組み合わせた、進行大腸がんへの標準的な治療法だ。

 2週間に1度の通院時には、3種類の薬を3時間ほどかけて点滴して帰宅。残り1種類の抗がん剤は、牛乳びんほどの大きさの携帯型ポンプに入れて腰などに下げ、まる2日間かけてゆっくりと注入する。抗がん剤の種類によって、短時間で注射した方が良いものや、少量ずつ時間をかけて注入した方が副作用が少なく効果が高いものがあるため考えられた工夫だ。

 携帯型ポンプは、抗がん剤を詰めた風船が、じわじわとしぼんでいく力を利用して、薬をゆっくりと押し出す。岡本さんの胸の皮膚の下には、ポートと呼ばれる差し込み口が手術で埋め込まれており、ポートから体内に伸びた管を通じて胸の太い静脈へ薬が流れる。

 「ポンプは上着で隠れるし、外出する時も全然気にならないね」と岡本さん。通院化学療法室の専任看護師、山田みつぎさんは「点滴中でも入浴は無理でもシャワーは浴びることができます。ほぼ日常と変わらない生活が送れます」と話す。

 患者にとって、何より心配なのは副作用への対処だ。同センターでは抗がん剤治療の種類ごとに作ったパンフレットを使い、診療科と通院化学療法室の看護師が、繰り返し説明する。

 同じ治療を受ける千葉県船橋市の女性(35)は、「副作用と言えば、吐いたり髪の毛が抜けたりという先入観があったが、抗がん剤の種類によって様々なのを初めて知った」と話す。パンフレットにまず書かれていたのは、手足のしびれ。鼻血など出血しやすい傾向や、傷がなおりにくいといった項目もあった。

 実際、自宅で突然、鼻血が出たことがある。「一瞬驚いたけど、事前に説明を聞いていたおかげで、あわてずに済んだ」という。出血は間もなくとまった。

 患者は、副作用の有無や程度を毎日チェックシートにつけて、通院時に提出。吐き気止めなどを増やすといった対応に生かされる。

 山田さんは「どんな副作用が起きうるかを事前によく知り、毎日のチェックを怠らないことが、安心して通院抗がん剤治療を受けるための第一歩」と話す。

 点滴用のポート 何度も繰り返し点滴する場合に、あらかじめ皮下に針の差し込み口を埋め込むことが最近よく行われるようになった。胸部のほか、太ももや腕に作ることもある。針を抜けば穴はふさがるので、入浴もできる。リザーバーと呼ぶこともあり、栄養剤の点滴などの際にも使われる。

2007年12月12日付 (読売新聞)

続きは・・・http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/renai/

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