自民党の新総裁に麻生太郎氏が選出された。
総裁選で七割近い票を獲得し、与謝野馨氏ら四候補に大差をつけた。
24日には国会の首相指名選挙を経て福田康夫首相の後継の座に就くことになる。
自民党が麻生氏に期待したのは、目前に迫る衆院選で先頭に立つ「選挙の顔」としての人気だ。地方票の9割以上が雪崩を打ったのは、面目躍如と言うところだろう。
都道府県連の中には、党員・党友による「予備選」の投票率が前回を下回ったところもあった。
当初から麻生氏優勢が伝えられ、「消化試合」という冷めた空気が漂ったためだろうか。
それでも、圧倒的な支持を得て当選を決めた麻生氏の発言からは高揚感が伝わってきた。
次期衆院選は小沢一郎代表の民主党と政権をかけた戦いになる。
麻生氏は「勝って初めて天命を果たしたことになる」と固い決意を披露した。
記者会見では「老後の不安、景気の不安、それを解決できない政治への不満」を解消していくことが自分の使命だと強調した。
全国をくまなく歩き、地方の声にじっくり耳を傾けた。国民の暮らしの実情は理解している。自民党政治に対する冷ややかな視線も、十分感じ取っている。
そう言いたいのかもしれない。
それにしては総裁選期間中の発言は心もとない。
基礎年金を全額税方式に改め、財源として消費税を10%に引き上げる-。二月にこう提言していたのに「こだわらない」と封印した。
公約にはなかった後期高齢者医療制度の「抜本的な見直し」を突然表明したことにも驚かされる。
重要な政策で発言がぶれるのは信念に欠けると言わざるを得ない。
記者会見でも、消費税の引き上げ時期について質問されながら、あいまいな答えに終始した。
麻生氏の持ち味は、ざっくばらんな語り口と親しみやすさだろう。街頭演説の巧みさは、国民との対話能力を示しているとも言える。
政権政党を率いる立場になったからには、耳障りなことでも国民に率直に語るべきではないか。
首相就任後はただちに組閣し、総選挙に向けた政権構想づくりに着手することになる。
求められるのは、その場しのぎの政策を並べ立てることではない。
言うべき事は言い、責任を持って具体化していく実行力だ。
それなしには、二度の政権投げ出しで国民をあきれさせた自民党政治への信頼は取り戻せない。
続きは・・・http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/119317.html
2008年9月23日(北海道新聞)
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