自民党総裁選(22日投開票)は17日、米証券大手リーマン・ブラザーズの経営破たんを受けた「リーマン・ショック」の沈静化に追われ、候補者のアピール合戦はすっかり影を潜めた。与謝野馨経済財政担当相(70)は会議出席のため、途中で帰京。10日の告示後、汚染米を含めて国民の生活に直結する問題が次々浮上する中、麻生太郎幹事長(67)の独走で「消化試合」となった総裁レースを続ける自民党への風当たりは、日ごと強まっている。
石原伸晃元政調会長(51)、小池百合子元防衛相(56)、麻生氏、石破茂前防衛相(51)、与謝野氏の5人は17日、島根県出雲市と岡山市で演説予定だった。しかし、与謝野氏は午前中の出雲で切り上げ帰京、官邸で経済財政諮問会議に出席した。担当大臣としてリーマン・ショックなど経済政策に対処するため。総裁選どころではなくなった。
国内経済対策や環境、格差など得意分野で競ってきた各候補の演説スタイルに、この日変化が生じた。通常演説の順番は最後の与謝野氏が最初にマイクを握り、現職の経済閣僚としてリーマン問題を説明。「日本経済にもハチが刺した程度の影響はあるが、日本の金融機関が傷むことは絶対にない」「信用不安が起きないように、政府も日銀も力の限り努力しなければならない」と強調した。
負債総額約64兆円というリーマン問題は世界中を経済不安に巻き込み、国民も注視する問題。各候補とも、持論の展開だけではもうすまない。麻生氏も「日本が急におたおたしなければならない状況では全くない」「景気対策が今の政策順位の一番だ」と訴え、防衛オタクの石破氏も「国民の生活の安定が第一。それを約束した上で、国家の安全を語っていきたい」と、歩調を合わせた。
一方、小池氏は汚染米の問題に触れ「やるべき調査もせず、責任をたらい回しにしている行政に税金を払う意味はない」と、農水省を批判した。与謝野氏は18日に秋田、岩手両県で行われる街頭演説も、リーマン対策で見送る。
「5候補による政策論争」を掲げて告示した総裁選だが、汚染米、リーマン問題が次々に直撃。政権政党としての対応が迫られる中「身内の祭りに興じるだけ」(民主党議員)の自民党の危機感のなさ。麻生氏独走で消化試合となった今、自民党内からも「長すぎる」(若手)との声が。それでもずるずる続く総裁選。「総裁選で国民にアピール→一気に解散総選挙」を描いた自民党の思惑に、狂いが生じる可能性もある。
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2008年9月18日付(日刊スポーツ)
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