2008年7月4日金曜日

低賃金 介護士いない

老人ホーム開設延期 訪問サービス応じず
 介護分野の人材難が深刻化し、一部でサービスが提供できない事態が生じている。来年度の介護報酬改定では、給与アップにつながる見直しを求める声が強いが、社会保障費抑制の流れもあり、どこまで実現できるかは不透明だ。団塊世代の高齢化で介護需要の急増が見込まれるなか、人材確保に悩む現場の姿を追った。(社会保障部 小山孝、安田武晴、飯田祐子)
 「内定を出しても、介護以外の業種に流れてしまう」
 神戸市内でこの春、特別養護老人ホーム(定員29人)の開設を延期した社会福祉法人「神戸福生会」の中辻直行理事長が嘆く。
 市内で五つの特養などを運営する同法人は、手厚い研修で知られ、例年、全国から新卒者が集まる。だが、今年は法人全体で50人の介護職を採用するはずが、34人しか確保できなかった。
 この特養には、約60人の入居の申し込みがあり、中には、認知症で一人暮らしが難しくなってきた人や、病院から退院を迫られていると見られる高齢者もいる。「無理して開設し、職員の負担が増えて退職者が出れば、かえって利用者に迷惑をかける。苦渋の決断だった」と中辻理事長は明かす。

 神奈川県にある定員50人の特養でも今年4月、「腰痛がひどい」「忙しくて思うような介護ができない」などの理由で、正職員の半数にあたる5人が退職した。派遣会社に依頼して何とか人手は確保したものの、「派遣は、派遣会社を通すために高くつくし、夜勤はできないという人もいる。採用を控えたくても、そうも言っていられない状況だ」と施設長は打ち明ける。
 横浜市社会福祉協議会が昨年、市内100か所の特養を調査したところ、約2割にあたる18施設が「一部のベッドを閉鎖した」と回答。閉鎖したベッド数は1施設あたり16床に上った。
 「パート職員の平均的な時給(900円前後)は、近隣のショッピングセンターの店員よりも低い。報酬引き下げで、『介護の仕事に未来はない』というメッセージを送り続けているのだから、人が集まらないのは当然だ」と、調査にあたった竹田一雄・高齢福祉部会長は訴える。
 状況の厳しさは在宅分野でも同様だ。
 訪問介護大手「ジャパンケアサービス」(東京)の場合、介護職1人にかかる求人コストは、2000年の10万~20万円から、今では約50万円に上がった。訪問看護など13事業所が人手不足などで休止・廃止し、「重度者の訪問介護の依頼を断ることもある」という。
続きは・・・http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/kaigo_news/20080703-OYT8T00246.htm
2008年7月3日付(読売新聞)

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