2008年4月15日火曜日

電車のマナー…迷惑行為 心がけ次第

少しの気遣いで公共の場を安心の場に
 地下鉄の優先座席に座っていた身体障害者の女性(40)が暴力を振るわれ、席を奪われた話を3月16日付の「泉」で紹介したところ、読者のみなさんから30通近いメールや手紙などが寄せられました。同じような理不尽な体験をつづったものもあって、駅や車内の迷惑行為が身近な現実を改めて思い知らされました。
 その一人、滋賀県湖南市のヘルパーの女性(48)が〈いやな思い〉に遭ったのは、昨秋、孫(2)を連れて大阪の天王寺動物園に出かけた帰りのことでした。
 JR大阪駅を出た電車はがらがらで、女性は空いていた優先座席に腰かけました。ベビーカーを傍らに置くのにはちょうど便利な位置でした。間もなく疲れで眠り込んでいると、足をけられ、「どけ」と言うどなり声で目が覚めました。見上げると、60歳代とおぼしき男性が立っていて、「ここはお前らやのうて、わしみたいな年寄りが座るとこや」とまくし立てます。
 「言い争っては孫が起きてしまう」。女性はそう思い、黙って席を立ち、場をやり過ごしました。けれど、その後味の悪かったこと。〈二度と電車では出かけたくないと思います〉という手紙の結びにショックの強さがにじんでいました。
続きは・・・http://osaka.yomiuri.co.jp/izumi/iz80413a.htm
2008年4月13日付・・・(読売新聞)
(参考までに
008年3月16日付の「泉」・・・http://osaka.yomiuri.co.jp/izumi/iz80316a.htm
内容は・・・地下鉄内の暴力 悲しい「見て見ぬふり」
電車内の迷惑行為が後を絶ちません。マナー違反だけでなく、暴力を振るうケースも出ています。被害に遭ったという大阪府内の女性(40)から〈泣き寝入りするしかないのでしょうか〉とメールが届きました。
 今年1月11日午前8時ごろ、大阪市営地下鉄御堂筋線で起きた出来事がつづられています。〈前の優先座席が空いたので座ったところ、二人隣りに立っていた60歳位の男に両足をたたかれ、服を脱がさんばかりの勢いで引きずり立たされました〉
 通勤ラッシュ時。込み合う車内での突然の暴力でした。初老の男はそのまま空いた席に座り、寝たふりを決め込んだそうです。
 無理やり席を奪うなんて許される行為ではありません。周囲の乗客は助けなかったのでしょうか。詳しい事情をうかがおうと、女性と連絡をとりました。
 「手も足も悪いから、ずっと立っているのはつらくて……。一駅でも座りたいと思っていました」。待ち合わせをしたカフェで、女性は、地下鉄での出来事を話し始めました。
 言われるまで気づきませんでしたが、手首が曲がっています。「先天性多発性関節拘縮症」。関節の筋肉が収縮したまま伸びなくなる難病で、両手足に生まれつき障害があるのです。
 両足の長さが違うため腰に負担がかかりやすく、左足を少し引きずります。両ひじを曲げられず、握力もほとんどありません。電車が揺れると、立っているのも大変だといいます。
 少女時代、体育の授業は見学ばかりでした。いじめられたこともあります。それでも高校卒業後、銀行に入り、仕事を続けてきました。パソコンを右手でしか使えなかったり、受話器を落としてしまったりしますが、持ち前の明るさで補います。「家族や、多くの友人、同僚らに支えられているから」と話します。
 それが、あの日、勤務先の研修に向かう途中で悪意に遭遇したのです。
 事件が起きたのは、梅田駅到着時。電車ではいつも優先座席の前で空くのを待っていて、そのときも、次の淀屋橋駅で降りるまで腰掛けるつもりでした。
 「オレが座ろうと思ってたのに座るな。どけ。お前の座るところやない」。近くにいた初老の男にいきなりどなられての暴力。「手も足も悪いんです」と訴えても態度を改めません。非常通報ボタンがありましたが、恐怖で動揺して鳴らせませんでした。
 周りの乗客は「見て見ぬふり」だったそうです。隣に座っていた男性は不審そうに男を見ただけ。「相手にせん方がいい」と声をかける人こそいましたが、誰も注意してくれません。
 淀屋橋駅で下車して駅員に助けを求め、男の暴力行為を伝えましたが、電車はそのまま出発しました。
 「普通の人より早く筋力が衰えるから、楽しめるうちに色々挑戦したい」。そう思って音楽ライブやドライブによく出かけていた女性は、事件以来、満員電車が怖くなったといいます。
 地下鉄での通勤時は、途中の駅から発車する、すいた電車に乗り換えます。非常通報ボタンの近くが定位置になりました。
 勇気を振り絞って被害届も出しました。大阪府警が捜査していますが、男の特定には至っていません。
 市交通局によると、地下鉄の車内や駅で乗客が暴行を受けたケースは2006年度、御堂筋線で10件、全線で計22件を数えます。つらく、やりきれない思いを抱えるのは、この女性だけではないでしょう。
 「身体障害者だと理解してもらえたら、対応も違ったのか」と女性は自問しています。同様の事件を防ぐためにも、互いを思いやる気持ちをもっと大切にできないものかと思います。みなさんはどうお考えになりますか。


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