2008年4月22日火曜日

そして歩む<下> 両脚回復あきらめない

1年超す入院車いすの就職
愛犬と遊び、登山する日信じ
 指はまだ思うように動かない。手のひらを滑らせるようにして車いすの両輪を操る。
 午前8時半。東京・JR山手線の駅にほど近いマンションから、岡崎愛子さん(22)は職場に向かう。
 ヘルパーの助けを借りながら、身支度を整えるのに1時間半かかる。入社したばかりの会社まで1キロ。だが、都会の雑踏を車いすですり抜けるのは、まだ苦手だ。人波に立ち往生することもある。「間に合いますように」と、車輪を持つ手に力を込める。
 同志社大2年だった。川西池田駅(兵庫県川西市)から通学で乗った1両目が線路脇のマンションに突っ込んだ。救出された時、下半身の感覚がなかった。頸椎(けいつい)損傷の大けがを負った。肺も傷つき、人工呼吸器を着けた。
 医師は「脚を動かすのは困難」と言った。冷たくなった太ももをさすって泣いた。40度近い高熱も続いた。もうろうとした意識の中、病室の天井を見つめ、「元の体に戻して」「脚を動かして」と願い続けた。
 事故の3か月後、大阪府内の脊髄(せきずい)損傷専門のリハビリセンターに転院。回復の兆しはなく不安と焦りが募った。両親らが、散歩やコンサートに連れ出してくれた。「できないことは増えたけど、今から出来ることを増やしていけばいい」。自分にそう言い聞かせた。
 投げたディスクを犬がキャッチする「フリスビードッグ」が趣味だった。以前は60メートル投げられた。退院直前に愛犬「ダイナ」と参加した大会では15メートルがやっと。それでも、「きっと日常へ戻れる」と信じた。
 2006年5月、退院。入院期間は、500人を超す負傷者の中で最長の377日間に及んだ。
続きは・・・http://osaka.yomiuri.co.jp/tokusyu/dassen/jd80422a.htm
2008年4月22日付(読売新聞)

0 件のコメント: