2008年4月25日金曜日

介護療養型老人保健施設とは…療養病床を転換 終末期ケアも充実

 この5月から新しい介護施設「介護療養型老人保健施設(療養型老健)」がスタートします。看護師が24時間配置されるなど、特別養護老人ホームや老人保健施設よりも医療が充実しているのが特徴です。
 療養型老健は、病状が安定した高齢者が入院する「療養病床」のある病院が転換する形でしか開設できません。背景には、療養病床を減らして医療費を抑制しようという国の方針があります。
 療養病床のある病院の多くは、かつては「老人病院」とも呼ばれていました。介護施設や在宅介護サービスが足りず、やむを得ず入院する「社会的入院」の人が多くいるとされました。
 療養病床を削減する方針が打ち出された2006年当時、全国に約35万床がありました。内訳は、約23万床が医療保険を使う医療療養病床で、約12万床が介護保険を使う介護療養病床です。
 医療の必要性が低いのに、介護施設より割高な病院に入院していれば、医療費の無駄になるだけでなく、本人の生活の質にも影響が出ます。このため、2011年度で介護療養病床を全廃し、医療療養病床も減らすことにしたのです。
 病床数の削減後、医療の必要度が高い人は医療療養病床へ、残りの人は有料老人ホームへ移ったり、自宅に戻ったりしてもらうことになりました。療養型老健は、こうした受け皿の一つとして新設されたのです。
 療養型老健には、入院するほど症状は重くはないが、たんの吸引や管を使って胃に栄養を送る「経管栄養」など、一定の医療が必要な高齢者が入所します。終末期のケア体制も充実させます。介護報酬は療養病床の時より最大で2割減り、利用者負担も下がります。
 配置される医師は、100床の場合で1人。療養病床では3人だったことから、病院関係者から「夜間に高齢者の容体が悪化した場合に対応できるのか」など不安の声が上がっています。様々な特例を生かせば改修を全くせずに開設できることから「病院と変わらないのでは」という指摘もあります。
 とはいえ、30年以上の歴史を持つ社会的入院の問題解決に向けて一定の前進があったことは確かです。施設の状況をよく調べ、必要な見直しをしていくことが求められます。(小山孝)
続きは・・・http://www.yomiuri.co.jp/iryou/kyousei/jiten/20080424-OYT8T00495.htm
2008年4月24日付 (読売新聞)

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